「美白」を正しく知ろう①意味と表記

「色の白いは七難隠す」という言葉を聞いたことがありますか。日本では古くから色白肌は美の象徴とされてきました。今回はそんな「美白」という言葉を掘り下げてみましょう。

古くから存在した白い肌への憧れ

この「色の白いは七難隠す」という言葉ができた江戸時代には、まだ日焼け止めは存在していませんでした。庶民は屋外で仕事をし、家事労働も肉体的に大変な負担だったことは容易に想像できます。そんな庶民が白い肌を保てるわけがありません。お城のお姫様への羨望だったのかもしれませんね。
時代は変わって現代、やる気さえあればUVケアはかなり効果的にできます。ただ、1年中こまめな日焼け止めの塗り直しを習慣に出来ている人はそう多くない可能性も。結果として40代以降にはシミやシワ、たるみ、くすみなどに悩まされている人が多いと考えられます。
もちろん価値観も多様化し、白ければいいという美意識自体が変わりつつあります。色の白さよりもキメやツヤを重視し「イキイキとして見える自分らしさ」を目指す流れを感じている人もいるでしょう。
それでもやっぱり白い肌を目指したい、そう考える人も少なくありません。その証拠に美白化粧品市場は大変活況です。

法律に縛られた厳密な表現

化粧品を販売する際に「美白」を謳うには、厚生労働省認可の美白有効成分を配合していることが条件となります。一定濃度以上配合されていれば「医薬部外品」となり、「薬用」と表現できるようになります。
普段何気なく見ているこれらの文言には、厳格な基準が存在しているのです。医薬品医療機器等法、通称「薬機法」と呼ばれている法律で定められた基準です。
決められているのは配合成分だけではありません。訴求できる効果についても、「日焼けによるシミ・ソバカスを防ぐ」と決められています。実は生まれ持った肌の色以上に白くすることや、今あるシミ・ソバカスを薄くする効果は含まれていないのです。現実にその化粧品にどのような効果があるのかという点とは別に、美白表現には厳しい縛りが存在しているわけですね。
逆に言えば、「美白」を謳っている化粧品は少なくとも「日焼けによるシミ・ソバカスを防ぐ」ことが証明されていると国がお墨付きを与えているということになります。
ここが難しいところなのですが、企業によってはあえて認可された美白有効成分にとらわれず、独自の成分や配合を採用している場合もあります。その場合「美白」や「日焼けによるシミ・ソバカスを防ぐ」といったコピーは使えませんが、実際に効果が優れていればSNSなどの口コミで人気商品となる可能性もあるわけです。「医薬部外品」「薬用」表記についても同様で、医薬部外品だからと言ってそうではないものより優れている証拠にはなりません。医薬部外品とは一定の品質があるという担保の意味なのです。

イメージで漠然と捉えている「美白」と化粧品のパッケージや広告に記載される「美白」には思ったよりも差があったのではないでしょうか。
次回②では具体的な美白有効成分について、種類とその効果をお伝えします。