ブルーライトは悪者?「光」との上手な付き合い方を考える

ブルーライトが人体に悪影響を与えるという話を耳にしたことはあるでしょうか。
寝る前のスマホ操作は睡眠に悪影響という話からブルーライト日焼けまで、さまざまな説があります。
「説」としたのは、人によってブルーライトの捉えかたが大きく異なるからです。
ブルーライトは人体に悪影響を与えるという立場からは悪影響があるという説が出てきますし、そもそも企業の不安商法だととらえている立場からは問題ないという説が出てくるでしょう。人によって関心の向きも熱量もさまざまなのです。

ブルーライトが人体に与える影響

そもそも光とは電磁波の一種で、人間の目で見える光は可視光線と呼ばれ、それよりも短い波長の物は紫外線、長い波長の物は赤外線に分類されます。
ブルーライトは可視光線の中でも特に短い波長のものを指します。紫外線に非常に近い性質を持っているとも言えますね。
ブルーライトと言えばLEDに含まれているイメージを持つ方も多いようですが、実は白く見える光にはブルーライトが含まれています。太陽光、蛍光灯などの自然光・人工光源を問いません。
よく聞くのは睡眠への悪影響でしょう。ブルーライトはメラトニンに影響を与えます。日中に強い光を浴びるとメラトニンは抑制され、夜になって光を感じなくなるとメラトニンの分泌は促進されます。メラトニンが増えると脈拍や体温、血圧が低下して眠気を感じ、良い睡眠がとれるというシステムになっています。ところが夜遅くまで明るい照明やディスプレイを見続けると、メラトニンの分泌は抑制されたままとなってしまうため、身体が睡眠に入る体制が整いません。結果として寝つきが悪くなり、生活リズムの乱れへとつながることが懸念されているのです。
人体とは不思議なもので、逆に日中に十分な光を浴びなければメラトニン分泌のオンオフができず、これまた不眠症などの睡眠障害の原因となりえます。
日中には太陽光を浴び、夜間にはできるだけぬくもりのある色温度の照明(オレンジ色の光)にして目を刺激しないように心掛けると良いですね。
ブルーライト日焼けという言葉もあります。ブルーライトは紫外線に非常に近い光のため、同じように肌の奥まで届き悪影響を与える可能性があるのではないかと考えられているのです。
ただ、スマホやパソコンのディスプレイ、テレビや照明程度のブルーライトであれば光源から1m程度距離をとれば影響がないという説もあり、やみくもに不安に感じる必要はないかもしれません。特に目に近づけて見がちなスマホでは、ブルーライトカットのシートやスマホ本体でブルーライトカットモードを設定することで手軽に影響を少なくできますので、対処しておけば安心ですね。
そもそもブルーライトの影響を心配する前にまずは日頃の紫外線対策を充実させるほうが先決でしょう。紫外線対策をおろそかにしたままブルーライトを心配するのは、人体への影響を考えると順序が逆でちぐはぐな印象です。
ただし、長時間スマホやパソコンのディスプレイを凝視し続けるのは、ブルーライトを抜きにしても目に良いとは言えません。眼精疲労やドライアイ、頭痛や視力低下を引き起こす可能性があると言われています。

ブルーライトが問題視されるのは、LEDの普及に伴って液晶画面や照明といった身近で長時間接する機器から発せられているという漠然とした不安感がもとになっているのではないかと感じます。
乱暴に言えば、「光」のせいで短期的に命が脅かされる心配はありません。ブルーライトを気に病むことのほうが身体には大きく影響すると言ってもいいくらいです。
頭の隅に「夜間のブルーライトはできるだけカットした方がいい」とおいておく程度で、ストレスはほどほどにおいしいものを食べ、しっかり睡眠をとりましょう。ブルーライトを過剰に恐れず、生活リズムを整えて健康に気持ちよく暮らしていきたいものですね。