「自分の顔」を見始めた男性たち

コロナ禍でテレワークをする人が増えています。考えてみれば、科学技術の進歩があったからこそテレワークが可能なわけです。
コロナウィルスが技術の進歩を待って感染拡大したわけではないのですが、そう考えるとコロナウィルスがテレワーク普及の一因ともなっていて、少し複雑な気持ちになりますね。

さて、そんなテレワークでは頻繁にオンライン会議が行われます。あるいはオンラインで気の置けない友人とテレ飲み会を開催することもあるかもしれません。
そんなとき、画面上に移る自分の顔をまじまじと見ますね。鏡で見るのとはまた少し違う、自分の映像を目にしたとき、皆さんはどう感じますか。
「今日疲れてるのかな?」おや、クマが目立ちますか。顔色があまりよくないのかもしれませんね。
「眉毛ぼさぼさだな」そうなんです。自然に任せておいても、眉は整いません。お手入れが必要なんですよ。
「唇がガサガサだ」割れてしまったら痛いし血が出てしまうかも。なめると悪化するので、リップクリームを塗りましょう。

お気づきになったでしょうか。
実は、上記の文章は女性ではなく男性を対象に書いてみました。
女性のメイクは身だしなみとされ、大人になったらするものだと刷り込まれて育ちます。
これに対して男性の身だしなみは主に清潔感が重視され、これまで「見た目をより良くする」視点は意識されてきませんでした。
しかし、画面越し、オンラインで仕事をせざるを得ない状況になって、ついに男性たちも他人が見る「自分の顔」を意識し始めたのです。

男性向け基礎化粧品、メイクアップ化粧品のどちらも市場は急拡大しています。
ここ数年が普及、一般化の過渡期になるかもしれません。
今はまだデパートのコスメカウンターでBAさんに相談する男性の姿はほとんど見られませんが、男性のスキンケア、メイクアップが一般的になれば、化粧品売り場に男性がいることも珍しくなくなるでしょう。
YouTubeなどでの男性によるメイク動画配信も人気が出てきているので、一気に流行する可能性もあります。

これまで女性の専売特許とも言えた、塗って描いてつけて変身していくあの楽しみを男性も経験していくのだな、初めは下手くそでうまくいかなくても練習を積んで上手になっていくあの達成感を男性も味わうようになるのだな、と思うと少し不思議な気持ちにもなりますね。
男性でも女性でも、メイクをしてもしなくても。それを自らの意思で選んで決められる、そんな自由な未来はすぐそこまで来ています。
「自分の顔」なんですから、スキンケアもメイクアップも好きなようにできるのが当たり前。
社会全体の意識がこのように緩やかに変容したとき、男性化粧品の爆発的な市場拡大は起こるでしょうか。
今後も注目していきたいと思います。