知っておきたいマーケティングのヒント①選択的注意

人間の目は大変高性能にできています。実は目だけではなく耳もそうですが、脳が必要と思う情報だけを取捨選択して取り入れているのだそう。確かに、見えているものや聞こえてくるものすべてを脳内で処理するとなると、パンクしてしまいますよね。
これは心理学で「選択的注意」と呼ばれる現象です。
今回はサロン経営の重要な柱であるマーケティングについて、心理学的側面から考えてみます。

発した情報はすべて届くわけではない

「カクテルパーティー効果」をご存じでしょうか。カクテルパーティーのような個々人がそれぞれに雑談しているような環境でも、自分の名前や自分が興味のある会話などは自然に聞き取ることができるという現象です。電車で寝てしまっても、自分が降りる駅のアナウンスが聞こえて目が覚めるのもこの現象だと言われています。
これは、人は音を聞くとき一律に聞いているのではなく、脳内であらかじめ注意を向けるべき音を取捨選択していることを示しています。
カクテルパーティー効果は聴覚の選択的注意ですが、視覚における選択的注意は「カラーバス効果」と呼ばれます。カラーバスのバスは「bath(浴びる)」。「今日のラッキーカラーは黄色」と聞くとやたらと黄色のものが目につくようになりますよね。そのように、ある特定のことを意識すると関連情報が目に飛び込んでくるようになるという現象をあらわします。
ここで注意したいのは、カクテルパーティー効果、カラーバス効果とも意識を向けている情報だけが選択され認識されている点です。
いくら広告を打っても、ターゲットの意識しているところと合致していなければ、その情報は選択されず、相手に届きません。人は目に映る景色を見ているのではなく、見たい景色を選んで見ているのだという意識を持つことが重要なのです。

「自分ごと」と感じさせる

基本的には誰もが「自分自身」に意識を向けています。自分に関わりや影響のあることについては、興味をもって情報を取り込もうとします。この点を踏まえれば、サロン経営者はやみくもに広告を打つのではなく、その広告を「自分ごと」ととらえる人に向けて集中的に展開するべきであることが分かるでしょう。
例えばあなたがエイジングケアに特化したエステサロンオーナーだったとしたら、「年齢肌」「ハリ・つや」「たるみ・くすみ」「更年期」「エイジングケア」などターゲットが抱えがちなトラブルについての文言を組み込むわけです。もちろんそのほかにも「乾燥肌」「毛穴ケア」「美白」など美容に関心がある人に届きやすい言葉はたくさんあります。しかし広く浅くと考えていては、届けたい人にピンポイントに広告が届きません。
相手が「自分に向けて呼びかけているのだな」と認識したところに、さらに関連情報を投入していけば、ターゲットはあなたのサロンに興味を持ってくれるはずです。
ターゲットを絞ると集客力が落ちると思われがちですが、実際にはターゲットを絞れば絞るほど「まさに私のためのサロン」と感じてくれる顧客を獲得できる可能性が高まるのです。